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私の名前は石井麻理。職業洋菓子研究家。目下ウツ病真っ只中。
ブログを立ち上げて間もない。 初めてご覧になる方、このエッセイは連載形式となっておりました。 PART1からPART33で一応完結しております。お時間のあるときにでもつらつらお読みいただければ、ワタクシの背景がわかると思います。 よろしくお願いいたします。 * * * 今日彼に付き添ってもらい、お友達の歯医者さんのところに行ってきました。 きちんとお話を聞いてくださり、歯も診てくださっての意見として、歯、特に奥歯というのはいろいろな神経と結びついているということ、それから歯科的なことではなくてもいくつか痛みとなる原因があるということ、もしかしたら私の場合、サンシャシンケイ、これ漢字がわからないのです、の痛みからきているのかもしれないので、少し歯科的な治療を離れ、彼女のお兄様が心療内科、それも神経の痛みにとても詳しいそうなので、一度相談に行って、薬を処方してもらったらどうか、そしてその結果でよくなればいいし、だめならまた相談しましょうということになりました。 とてもわかりやすい説明で、私も彼も納得し、まあしばらく痛みとは付き合わないといけないけれど、方向性がみえてきたので、すこし前向きになることができました。 診察の後、彼女のお母様が私とお話をしたいと言っているのでウチに寄ってくださる?というので、彼女のご実家に寄らせていただきました。 実は彼女のお母様もウツ病を経験され、私のことを心配してくださったのですね。 久しぶりでお会いするお母様は、とても85歳には思えないほど、おきれいで、そしてお元気でした。 居心地のよい応接室には、お母様がたててくださったお抹茶がすでに用意されておりました。 お母様のこれまでの経緯を伺い、どのようにしてウツを治されたかなどとても興味深い内容だったのですが、ウツの渦中にある中、ふと和歌を詠んでみようかなと思われたのだそうです。 はじめはなにも思い浮かばなかったのに、月に3つは歌を詠もうと決心されてから、がらりと心持が変わったそうです。 それは和歌を詠むときには集中しなければならないこと、そしてその集中しているときには自分がウツであることを忘れていること、それからは沸き出でる泉のごとく心に思いが浮かんできたそうです。 それを聞いて、私もはっと思いました。 まさに私も同じなのです。バレエと声楽のレッスンのときだけは自分がウツであることを忘れられるのです。 そしてこうもおっしゃいました。 自分は生かされていると。いろんな人に、たくさんの愛情をいただきいっぱい心配してもらって、私は人によって生かされているのだと。 私もウツになりしみじみと、神様はもちろん人間は人によって生かされているのなだという思いにいきついたのですね。 お母様の和歌集を拝見いたしました。 「うつとなり喜怒哀楽を忘れし幾く久しく時はたちけり」 ごめんなさい、言葉が違っておりますが、内容としてはわかっていただけますね。 最初のころの和歌を見ると、暗く辛かった日々の気持ちが自分の姿とだぶりよくわかりました。 それがあるときを過ぎると、だんだんと明るく、また筆の運びにも筆力が加わってきたのです。 そして、これまでは自分だけの世界だったのが、友人を慮る歌であったり、また花の美しさを詠んだりと、内容ががらりと変わっていくのです。 二人で食い入るように見ていると、 「実はね、和歌もそうだけれど写真も始めてね」 と、アルバムを差し出されました。 彼は口をあんぐりと開いてました。 そのアルバムに収められているお写真は、とても失礼ながら85歳の、しかもしろうとの方が撮ったとは思えない、すばらしいものでした。 私はくわしくありませんが、彼が言うに、アングルも構図もこれは玄人はだしだ、しかもこれだけの写真を撮ろうと思ったら、そうとう歩かなければならないだろう、もしかしたらがけっぷちを登ったかもしれないし、寒さのなか凍えながらシャッターチャンスを狙ったかもしれない、どちらにしろこの写真はすごいと。 でも私が一番心打たれたのはお母様の言葉でした。 「麻理ちゃん、私はね、あなたにどうしてもこの歌と写真を見せたかったの。この歌は私にとっては日々の生きる証なのね。麻理ちゃん、辛いわね、苦しいわね。人間は強いものではないの。だから自分で悟りを開こうなんてしょせん無理なこと。そうではなくて自分の心を別のところにおきなさい。私が和歌に自分の心を託したように。それからね、こんな世知辛い世の中だけど、見方によってはみんないい人なのよ。悪い人なんていない。85歳まで生きているとね、いくつもの山も谷も超えてきたの。だから言えることなの。麻理ちゃん、あなたはまだまだじゅうぶんに若い。だからきっと病気は治る。元気を出しなさい。私はあなたにそれを伝えたかったのよ」 私の背中を一生懸命さすりながら、おっしゃいました。 涙がとまりませんでした。 たくさんの人に私も優しい言葉をかけていただいたし、親切にしていただいたけれど、同じ病の人だからこそ十分に私の辛さをわかってくださった、ご自分だってまだまだ体調が万全ではないのに、こんなに優しい言葉を人にかけてくださる、そばで聞いていた彼も泣いていました。 本当にありがとうございます。とってもうれしかった。今私は両親と会うことができないのでその分余計にそのお母様の優しさが身にしみました。 こういうことを、 「病を得た」 というのでしょう。どれだけ苦しい日々だったことか。でも、それがあるから人の痛み、悲しさが理解できるのでしょうね。 こんないいお母様を持った彼女は幸せものです。 私の歯の痛みはまだまだ長くかかりそうだけれど、今日お母様にお会いできたこと、それだけでたくさんの勇気と幸せをいただきました。 だからそっくりそのままおかえしいたします。 これをご覧のウツの方、自分の心を変えようなんて思うの、やめましょうよ。なにか楽しいことをひとつでもみつけて、そちらに心を移しましょうよ。 そしてお母様、100歳、いやもっともっと長生きしてたくさんのこと教えてください。 本当にありがとうございました。 今日のエッセイはお母様にささげたいと思います。感謝を込めて。 麻理
by maris-konzert
| 2009-12-22 22:28
| 日々のこと
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Comments(2)
Commented
by
まっち
at 2009-12-23 10:16
x
わからない漢字は三叉神経です。息子が頭と顔の三叉神経痛でひどく痛がっていたことがあります。どうぞお大事に。
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Commented
by
maris-konzert at 2009-12-23 15:13
at 2009-12-23 10:16 さま
そうなんだ。ほんとに痛いのよ。そんな神経があるなんて知りませんでした。どうもありがとう^^。麻理
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